「新選組!」が半分終わって

新選組!」が半分終わってというタイトルにしたが、半分というのは期間的にも内容的にも6月末の芹沢暗殺の時である。その時書こうと思っていたけど遅くなってしまった。

芹沢殺しは大人になるための試練とプロデューサーのコメントにある。新選組物で、期間の半分まで芹沢鴨を引っ張ったのは多分初めてでは無いか。三谷さんも朝日新聞の連載コラムで「大河史上最大の悪人にしたい」と書いていた。沖田に関していうとオイディプス王の話を模していると言えるだろう。つまり父殺しである。でもその後も相変わらずみたいだけど。

史実に合って無いとか言う事をいう人もいるらしい。確かに、試衛館時代の近藤らと坂本、桂が知り合い出会ったという記録は無いのだろう。でも、坂本・桂は、江戸の名門道場の師範代である。近藤らは彼らの名前を知っているだろう。酒を飲み交わす仲なら日記等にのこっているだろうけど、見かけた位あってもおかしくない。フィクションとしては許容範囲だと思う。大河では過去に、城代家老大石内蔵助と吉良側上杉家江戸家老が旧知の間柄という設定もあった。これも記録にあったわけでは無いだろう。文句を言った人いるの?

近藤らと坂本らが元々敵同士と誤解している人もいるようだが、放送の前説でもあったように、黒船来航のころは皆「攘夷」の思想では一致している同士である。しかし、龍馬って遊んでばかりのように描かれてるなあ。まあ周辺人物なんで、神戸海軍操練所等の話を書いてもしょうがないと言うことか。武市も出てこないままに終わりそう。あと、久坂が活躍してるのに高杉は全く出てこないのかな。西郷は今回(蛤御門の変の回)出てきた。

芹沢から「鬼になって俺を食っちまえ」といわれた近藤もようやく「鬼になる」と決意、池田屋では「公儀にたてつく者は斬る」と決めた。芹沢が宴席の帰りに斎藤に「お前はいい」とボディガードを断り、斎藤はそれでも芹沢を守ろうと、土方の言うことは聞かないが近藤の「斎藤君、通してやれ」の言葉には従う。

今後は、三谷さんが近藤・土方・山南・斎藤の関係をどう描いていくかが楽しみ。一時は土方・山南は名コンビだったのにね。まあ、結末はわかっているんだけど。
最近の近藤は土方に対しても「いいお言葉がでたぞ」とか「薬屋の言うことだ。信用していい」とか他人の前でわざとのように言っている。親友だからからかっているのか、最近の土方の動きに違和感があるのか。親友とは言え、土方自らが「他人の前では、トシと呼ぶな」と近藤を立てるため人目を気にしている。近藤もそれをわかった上での発言なので、やはり現時点では違和感があるんだろうか、それとも土方と距離を置いていることのポーズ?今後の近藤と土方の関係は一体化していくだろうから、近藤ももう一皮むけると言う事になるのだろうか。その時が山南の脱走に繋がるのか。

しかし、斎藤のオダギリジョー、かっこいいねえ。あの拷問案を出したのはちょっとあれだけど、史実ではないらしいし。拷問案を出したのを斎藤に割り当てたのは土方・斎藤の今後の接近を意図してのことなのか?でも斎藤って「近藤が天狗になって困る」という建白書に参加しているんだよね。いずれにせよ今後に注目。

あと土方。実はキャストを見たとき一番違和感のあったのは彼。だって「一つ屋根の下」のイメージしか無かったから。でも、きっと土方は彼の代表作になるだろう。殿内が斬られて芹沢の罪を問えなかった時の「あいつ(近藤)に二度とこんな思いはさせない」のセリフ。 「ほぼ日刊イトイ新聞」では無いが、「山本くん、いままでごめん!」。

捨助も最近は大活躍。だいたい大河は、歴史上無名な市井の人が主要な登場人物でも良く出てくるが、さすがに幕末しかも新選組周辺では全く無名の人は少ない。そのあたりの役柄を捨助が一手に担っているのだろう。一応実在人物のモデルはいるようなのだが。
多摩編で登場の時、中村獅童にしてはえらく役不足(本来の意味)だなと思ったんだけど、さすが「HR」の名番長役、また香取君との絡みが楽しみ。

ついでに三谷さんの書いていた「大河史上最大の悪人」を考えてみた。芹沢はそうじゃないよね。いろいろ考えたけど私が見だした「国取り物語」以降では「炎立つ」の源頼義(佐藤慶)かな。